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Dr.イワサキ

Dr.イワサキプロフィール
岩崎輝雄(いわさき・てるお)

1933年島根県松江市生まれ。
協会監事・学術部会代表/北海道大学 健康・予防医学 教育学博士/健康評論家。
温泉健康法として「クアハウス」、森の健康法として「森林浴」を発案、企画・運営指導に携わる。その間、一貫して厚生省、農水省、環境省の補完事業を担当。レジオネラ菌対策、シックハウス対策にも係わっている。
著書に「温泉と健康」(厚生科学研究所)、「クアハウスの健康学」(総合ユニコム社)、「森林の健康学」(日本森林技術協会)などがある。

Dr.イワサキの今月の水のお話し
協会のご意見番「Dr.イワサキ」こと岩﨑教授が、ちょっと気になること、不思議に思うこと、愉快な出来事などなど、毎月楽しい内容をお話ししていきます。

Vol.49 ◆毛利元就の「“まさか”の坂」に身震いする現代人◆

 今年のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』も終盤にさしかかり舞台は山口県から群馬県に移ったが、今回は長州藩(現在の山口県)を治めた毛利家の中で最も知名度が高い戦国武将・毛利元就(もとなり)の『人生には三つの坂あり、上り坂と下り坂、そして“まさか”の坂』の言葉を取り上げることにした。
 祝宴などの挨拶で引用されることも多く一度は聞いたことがお有りかと思うが、この言葉は元就が「厳島の戦い」で奇襲を仕掛ける前に家臣を叱咤した言葉として、今でも中国地方に深く印象付けられている。

 誰しも日常生活で“まさか”と思う色々なケースに直撃するものである。
 緊急を要する事態に遭遇した時に下す自己の判断により、その後の人生を押し上げるか押し下げるか、多くの現代人はこの“まさか”という状況で震えている。
 先々の不幸ばかりを考えて何もしないのは、その方が不幸だとの古人の言葉もある。しばし立ち止まり、「自分に慢心や油断はないか」「今できる最善の策は何か」と考えようとする気の持ち方が大切である。

 元就は兵数で劣る不利な状況で大嵐の夜に船出して奇襲攻撃を仕掛け陶(すえ)氏の大軍を打ち破ったが、「“まさか”は敵にも味方にもある恐ろしい坂では」と話し合った故郷島根県の旧友である松本泉氏(元毎日新聞松江支局長)との巷談が懐かしい。
 また、1997年放映のNHK大河ドラマ『毛利元就』の第41回「奇襲厳島」では、この『人生には三つの坂あり・・・』の言葉を大切に解説してくれた記憶もある。
 巻末に触れておきたいが、毛利元就のこの名言を総理任期中の選挙時に引用したのが小泉純一郎氏で、今では報道機関の多くがこの名言を“小泉説”と誤認して“毛利思想”を度外視し無視する愚行には本当に困ったものである。

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タイトル 掲載日
Vol.48◆文学賞等の“夫婦受賞者”にもっと国民の関心を◆ 2015年(平成27年)8月掲載
Vol.47◆中学1年生に託されたダイナマイト着火体験◆ 2015年(平成27年)7月掲載
Vol.46◆芥川賞・直木賞選考を支えた郷土の友・高橋一清に思う◆ 2015年(平成27年)6月掲載
Vol.45◆ルネサンス期の「万能人」と呼ばれるミケランジェロ◆ 2015年(平成27年)5月掲載
Vol.44◆教育家ペスタロッチの “貧しかった幼少時代に受けた実母からの教え◆ 2015年(平成27年)4月掲載
Vol.43◆シェイクスピアの没100年後の評価◆ 2015年(平成27年)3月掲載
Vol.42◆貧困と慈母の温情に浸る「エミール・ゾラ」の努力物語 2015年(平成27年)2月掲載
Vol.41◆少学教育で得た“コメづくり”失敗と成功の体験 2015年(平成27年)1月掲載
Vol.40◆世界一恵まれた山脈・山彙(さんい)の自然風景は日本の誇り 2014年(平成26年)12月掲載
Vol.39◆日本の田舎町を愛したイギリス人女性紀行作家
 「イザベラ・バード」の日本観に思う
2014年(平成26年)12月掲載
Vol.38◆甲州種ブドウの育成歴と日本の歴史の類似性 2014年(平成26年)10月掲載
Vol.37◆“ボランティア説明員”から見る迎賓館赤坂離宮の一般参観 2014年(平成26年)9月掲載
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Vol.35◆「海の家」の排水事情と衛生問題に注目 2014年(平成26年)7月掲載
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Vol.33◆豪華船も最新ジェット機も“揺れる場所”ほどお高い料金の怪? 2013年(平成25年)1月掲載
Vol.32◆『旬』を食べよう
-四季観にみる食材の尊さと医学的効果を食卓に-
2012年(平成24年)10月掲載
Vol.31◆白菜の浅漬けによる食中毒死亡事件を身近な事件として捉えよう 2012年(平成24年)8月掲載
Vol.30◆「混浴」 -人類永遠のテーマとしての功罪-
 【その二 私の混浴温泉露天風呂愛好志向をもとに】
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Vol.29◆「混浴」 -人類永遠のテーマとしての功罪-
 【その一 混浴の営みの原点】
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Vol.28◆バイオフィルムは口の中にも -平素のブラッシングこそ最高の防護策・恵比須繁之博士説に注目- 2012年(平成24年)2月掲載
Vol.27◆“5秒ルール”の奥にある衛生心理
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2012年(平成24年)1月掲載
Vol.26◆レジオネラ症防止対策の根底にある施設の意識の格差
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Vol.12◆地球ご帰還に見せた先端宇宙科学の“三つの着地風景物語” 2010年(平成22年)7月掲載
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Vol.10◆科学で痛めつけられた水に 天然素材の浄化で恩返しを 2010年(平成22年)5月掲載
Vol.9◆コスト削減で急増する企業の地下水利用と衛生管理 2010年(平成22年)4月掲載
Vol.8◆“寿司”など外国での和食文化普及には厳しい衛生管理を 2010年(平成22年)3月掲載
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Vol.6◆医学で話題の美意識と温泉効果を比ぶれば… 2010年(平成22年)1月掲載
Vol.5◆湯上り美人は温泉で… 2009年(平成21年)12月掲載
Vol.4◆“豊か"で“快適"になった生活のツケは… 2009年(平成21年)11月掲載
Vol.3◆「安全」と「安心」は同じじゃない 2009年(平成21年)10月掲載
Vol.2◆朝顔のつる 2009年(平成21年)9月掲載
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