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Dr.イワサキの今月のお話し
Dr.イワサキプロフィール
1933年島根県松江市生まれ。協会監事・学術部会代表幹事/北海道大学 健康・予防医学 教育学博士/健康評論家。
温泉健康法として「クアハウス」、森の健康法として「森林浴」を発案、企画・運営指導に携わる。その間、一貫して厚生省、農水省、環境省の補完事業を担当。レジオネラ菌対策、シックハウス対策にも係わっている。
著書に「温泉と健康」(厚生科学研究所)、「クアハウスの健康学」(総合ユニコム社)、「森林の健康学」(日本森林技術協会)などがある。
Vol.6
◆医学で話題の美意識と温泉効果を比ぶれば…
時代の激しい変遷とともに、生命科学分野にも奇妙な現象が起こることがある。寿命が延びて“美しく老いる”という国民的願望がその震源だ。最近、医師会と国立がんセンター中央病院共催の研究会で、開腹手術派と内視鏡派の討論でも内視鏡派がその効果に“術後の患者への美的意識”を話題にしていた事を思い出す。
骨、関節、筋肉が主な守備範囲の整形外科でも“美容整形外科”が、そして皮膚科も美容皮膚科が独立する程に進化してきている。これらは担当医の容姿は別としての話だが。
小生の専門分野でもこれを試みた。“温泉の若返り健康づくり効果”には①温泉泉質の化学的効果、②浮力等の物理効果、③本来の温熱効果等、といくつかあるが、この切り口では美的感覚と面白さに欠ける。そこで美容皮膚科的視野から説明すると・・・
視点を皮膚の仕組みに置く事だ。第一に紫外線を吸収して皮膚を保護する物質 “メラニン色素”への配慮だ。紫外線で傷つけられた皮膚の表面による突然変異が皮膚がんとなるが、皮膚の深い層(基底層)で色素沈着によって色を残すことになる。シミの元もこれだ。第二に皮膚アレルギーにかかわる細胞(ランゲルハンス)を保護する配慮だ。
温泉入浴には①温熱と泉質の効果で、先ず入浴で皮膚を湿らせ、皮膚表面にある角質層の配列を整える作用、②美容上、本来剥がれ落ちるべき皮膚をきれいに落とす、③落ちなかった角質が皮膚のキメを粗くし、くすんだ色をつくり、これが小じわをつくるとし、この角質を無理なく取り除くなど、諸効果の説明が可能だ。つまり美容皮膚科が求める温泉で身体表面角質への配慮と温泉医学において副交感神経に有意のストレス解消など諸々のトータルで評価すべきだろう。
ただ、限りある皮膚の寿命をいくら医学で処置してみても、重力に逆らえず、疲れ果てた皮膚状態のみに視点を当てるのでなく、心身ともに軽やかな身のこなし方も温泉の若返り健康法であるべきで、見た目の美しさに限定していてはだめである。医学の高度化にこんな配慮も求められる時代とは・・・さて?
それはともかく、新年を迎えて小生も心を新たにするべく、温泉に浸かって幾分かのストレス発散とともに角質もきれいさっぱり、見た目にも?もっと若返りたい、と思う今日この頃である。
では、また。
(0908-006)
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