Vol.20
◆終曲の巧みさ、美しさで始めて結実したいペットへの愛情 “行方定まらない道すじ”に配慮を
昨今のペットブームで、厚生労働省による「犬の登録頭数」は、10年前からの動向からして本年は700万匹台となることが推定可能だ。この数字からすると国民の17人に一匹の割合のペット時代になるのだが、いま可愛い可愛いだけでは済まされない深刻な社会問題と化しているのが、「ペット火葬・霊園事業」だ。
住宅地に建てられたペット霊園と火葬墓地、出前宜しくペット火葬車が民家の直前で火葬処理し30万円請求された埼玉県志木市の例など。
ペットビジネス専門誌の「野生社」(東京都杉並区)によると犬猫の火葬、埋葬、墓石、供養施設は現在600箇所以上で、人の場合は墓地埋葬法で知事の許可が必要だがペット霊園には法規制はなく、住宅地でもどこでもお構いなしだ。
700万匹の膨大な生き物の衛生処理は愛玩する前に、適正な環境保全のための強制力は必要であり、その証左に住宅密集の関東では6割近くの40自治体が条例や要綱を制定しているのは頷ける。
そこで基本的な問題点を直視しつつ指摘しよう。第一に飼い主はペットへの愛情も他人の迷惑にならない範囲を守ること。つまりペット火葬事業には他人事でなく事前に積極的に地域住民の合意に努力することだ。第二に動物愛護運動も、動物の生命の尊さを声高に言った「攻め」の発言だけでなく、社会でのペットの飼育のあり方、衛生管理など「守り」の意識発言を行うべきで、つまり権利と義務の関係式に愛護運動のアンバランスが目立つ。第三に行政の強制力は国が一律の基準を策定するなど配慮すべきだ。
かく云うわたしも同居する若夫婦が大切にしている耳の大きいビーグル嬢にメロメロだ。寒い夜中には布団に入り込み頭を枕にかけ、おまけにイビキもかくとか。実は幼少から5匹の犬を飼ってきたが埋葬するたびに心が耐え切れなくて手を引き、ビ嬢の終局時は若夫婦に託している昨今だ。
それにしても、このままだとペットの高齢化が進んで、介護サービス事業も人だけでなく老犬相手にも参入するになるのではと余計な心配をしてしまうが、私のような頑固な後期高齢者相手よりもよほど良いのかもしれない。では、また。
(1103-020)