Vol.46 ◆芥川賞・直木賞選考を支えた郷土の友・高橋一清に思う◆
私は、高橋一清氏のサイン入りの絵葉書 “by Makoto Furukawa” を今でも何故か大切に保存している。
10年前の正月、銀座・文芸春秋画廊にて、古川誠写真展『和の心 日本の美 松江』を楽しんだ。同郷である松江出身の彼は著名な写真芸術家であり、感激の参加でもあった。
その折、初対面ながら主催者のひとり松江観光協会の高橋一清氏と交誼した。
画廊会場での名刺交換で10歳年下の高橋氏は、“岩﨑”という松江では教育者に多い名称、本場出雲弁発音トーンなどから、私が松江出身の旧制松江中学のOB者と見抜いていた模様だった。
高橋氏については、益田出身で多くの芥川賞・直木賞作家を世に送り出してきた文藝春秋の幹部スタッフであるとは知っていた。
水上勉、大庭みな子、出久根達郎、高樹のぶこ、佐木隆三、立松和平、椎名誠、荻野アンナ、松本侑子等、名だたる作家達がわざわざ松江を尋ねたという人こそ、元文藝春秋編集長の高橋氏であった。
高橋氏は、2006年の定年後、郷里の松江観光文化プロデューサー役を依頼され、「文壇の円卓」、「松江ルネッサンス」、「山陰文学学校」の会合を企画し著名作家を呼んで知的な触れ合いの空間づくりを仕掛け、最近ではカラコロ工房(松江市殿町)で「カラコロ文化サロン」を始めている。
松江市の文化を大切にしつつ変化をつけて、芥川賞・直木賞作家達との本格的な知的交流の場として観光文化の街づくりを仕掛けるなど、現在も将来も郷里松江に対し、必須の文化育成を目指す彼の姿勢が読み取れる。
“今回古川誠写真展にお越し下さいましてありがとうございました。撮影された美しい風景を、心和む情景を、是非ご覧いただきたく、心よりお待ちしております。”
私宛の当時の絵葉書を手にしつつ、高橋一清氏のいつもと変わらぬご活躍を期待している。
※写真資料:松江城の写真は、(一社)松江観光協会ホームページより
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