Vol.37 ◆“ボランティア説明員”から見る迎賓館赤坂離宮の一般参観
本年(平成26年)8月の内閣府が主催する迎賓館赤坂離宮での10日間の一般参観行事は、3万人余の参加者があり、盛況ぶりが注目された。
学士会の要請により現場の説明役として10年余にわたり参観者への案内を行ってきた立場から、この施設公開について触れてみたい。
明治42年に完成した東宮御所(後に赤坂離宮となる)は、昭和43年の全面改修を機に佐藤首相(当時)の提案で迎賓館赤坂離宮とし、首脳外交交流施設として再出発した。
本施設利用には、交流相手国の選定にあたり、国情に鑑み外交要素の価値の高さが重んじられ、年間平均20か国の元首が国賓として迎賓館に招待された。
しかし、国連加盟の200余の国の内、招待した国はこれまで延べ60余ケ国のみに限定されているのが実態だ。
発案首相の佐藤首相から引き継いだ田中首相は、この歴史的由緒ある豪華な施設をもっと国民にPRすべきだと、毎夏季の10日間の一般参観行事が提案され制度化した。
内閣府より学士会に依頼があり、この由緒ある外交専門施設の一般参観者への“ボランティア説明員”として30名余が推薦され、筆者もこの仕事に奉仕しているわけである。
学士会とは、7旧帝国大学と台湾帝国大学(支那)、京城帝国大学(朝鮮)の計9大学の大学、大学院(博士号取得者を含む)および同グループに配属されている教官で構成されるOB会で、現在は東大、京大、大阪、九大、東北大、北海道大、名古屋大(設立順)の7大学で構成されている。台湾と京城の2大学は卒業者のみ会員記録がある。
筆者はすでに同会20年余の会員である。
参観者の過去最高は外国人を含め10日間で約5万人。高校生以上に人気があり、毎年の応募は5~10万人を記録している。全国から来られるにもかかわらず真夏でも殆ど正装での参観者には、筆者も感銘している。
現場での案内は1時間半を午前と午後で計2回、多い時は4日間任務に就く。
説明役の会員の年齢はおよそ60~80歳で、筆者のような法律・教育を専門とする者の他、文学部、建築学部、工学部のOBが多く、東大、京大、北大OBが多い。
今年度の迎賓館内の案内個所は「朝日の間」「彩鸞(さいらん)の間」「花鳥の間」「羽衣の間」そして「大ホールの間」の5か所で、会員が説明・講義を行った。
それにしても、現役の説明役として最高齢の筆者にとって真夏のイベントは体にこたえるが、一仕事終えた後に愛妻が作る料理を肴に一杯やるのもこたえられないものだ。ではまた。
(1409-037)