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2023年(令和5年)10月17日(火)付け読売新聞は、青森県八戸市の駅弁製造販売会社「吉田屋」の駅弁を原因とする集団食中毒は、市保健所が16日、「推定」と位置づけた原因を明らかにし、一つの節目を迎えた。吉田屋が岩手県の業者に製造を委託した米飯が、注文時の指示より高い温度で搬入されたにもかかわらず受け入れ、冷却までに菌が増殖した可能性がある――などとする「推定される主な原因」は、5点に及んだ、と伝えた。
市保健所によると、吉田屋に9月14、15日、製造を委託していた岩手県の業者から計約1・5トンの米飯が搬入された。事前の指示書では茶飯27度、酢飯28度で納品予定だったが、14日は、搬入から3時間後の時点で45度と15度以上も上回っていた。翌日も搬入時点で約10度上回っていたが、自社で冷却し、弁当に使用したという。
さらに、委託業者が配送で使った発泡スチロール製の外箱を、吉田屋が殺菌せずに盛り付け室に搬入したため、米飯や具材に菌が付着した可能性もあるとしている。吉田屋は、この米飯と自社炊飯分の冷却を同時に行った際の製造記録や、臨時従業員に対する健康状態の確認についての記録を残しておらず、手指の消毒や手袋の交換が適切に行われなかったり、衛生管理が徹底されていなかったりした可能性があるという。
市保健所は、同社から一部の販売店へ回収の連絡が届かず、16日製造分の一部が販売されたことも、患者増につながった要因の一つと指摘した。事前に回収時の販売店への連絡方法を定めていなかった。
市保健所は吉田屋への聞き取りや検体の検査結果などを分析してきた。16日に記者会見した市保健所の石井敦子副所長は、菌が増殖した原因の断定にまで至らなかった理由について、記録が残っていないことや、原因菌が検出されていないことが、菌が付着していない理由にはならないことなどを挙げた。
9月23日から命じられている営業禁止は今後、吉田屋が改善報告書を保健所に提出し、立ち入り検査で改善が確認された後、解除される見通し。吉田屋は10月16日時点で、読売新聞の取材に応じていない。
市保健所は9月17日、福島県内の保健所から「吉田屋の弁当を食べて体調不良を訴えている人がいる」との連絡を受けて調査を開始。症状を訴えた人の便や未開封の弁当から、黄色ブドウ球菌とセレウス菌が検出され、弁当を原因とする食中毒と断定したとのこと。