塩素剤(次亜塩素ナトリウム)の特徴と取り扱いについて
2024年7月1日(月) 公益社団法人 全国水利用設備環境衛生協会(水利協)
浴槽水の消毒用として広く使用されている次亜塩素酸ナトリウム(液剤)は塩素系殺菌剤のひとつであり、殺菌力が強く、取り扱いも簡便ですが、注意しなければ効果が減少してしまったり、危険が生じたりすることがあります。
●次亜塩素酸ナトリウムの一般的特徴
- ・低濃度で高い殺菌力と広い殺菌スペクトル(多くの病原微生物に有効)を示す消毒剤である。
- ・常温でも不安定な化合物で容器保存中でも分解し徐々に濃度が低下する。
- ・日光、特に紫外線により分解が促進される。
- ・温度の上昇とともに分解率は増加する。
●使用中は適正範囲の濃度を維持する
- ・循環式浴槽の場合、循環系統の洗浄は配管内や機器に汚れ(バイオフィルム等)が有ると、遊離残留塩素(以下塩素と呼ぶ)が消費され濃度が低下するので、洗浄中は塩素濃度を適正値(通常5〜10mg/l)内に保持する。
- ・濃度の計測には通常濃度(0.4〜1.0mg/l)計測用機器とは別に、高濃度用の残留塩素測定器を用意する
●循環系統の洗浄は常温水で行う
- ・温水の使用は消毒効果が高くなるが、塩素の分解も早くなるので、常温水で循環洗浄を行うことを推奨。
●温泉水を使用しての洗浄は注意
- ・洗浄にアルカリ性の(温泉)水を使用すると、塩素の消毒効果が弱くなる。逆に、酸性泉質の(温泉)水を使用すると塩素ガスが発生し、危険を伴うことがある。
●換気に注意
- ・高濃度下の作業の際はよく通風、換気を行う。
- ・換気の出来ない場合は、呼吸用保護具(防毒マスク)等を着用するなど健康被害が無いようにする。
●保管は適切に
- ・直射日光を避け、冷暗所に貯蔵する。
- ・保管状態が悪いと分解が促進され、使用期限前であっても濃度の低下が大きくなる。
- ・長期保管された塩素剤は、有効塩素濃度が大きく低下している可能性があるので使用を避ける。
参考資料:循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアルについて(厚生労働省ページ)
III.循環式浴槽の管理方法 4.浴槽の水質管理 2)消毒方法
(5)塩素系薬剤を使用するにあたっての一般的な注意事項は何ですか。
https://www.mhlw.go.jp/topics/2001/0109/tp0911-1.html
文:水利協編集部
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