この冬に向けた新型コロナ・インフル対策の注意点
〜加湿器・空気清浄機等は適切な使用を〜

２０２０年１０月１日（木） 公益社団法人 全国水利用設備環境衛生協会（水利協）
［２０２２年１１月３０日更新］

　冬のインフルエンザ対策として施設店舗内では加湿器などが活躍する時期ですが、今年はそれに加えて新型コロナウイルス対策もしなければならない事態となっています。
　新型コロナウイルスによる感染が拡大した2020年〜2022年の冬は、日本をはじめ世界でもインフルエンザの流行はほとんどありませんでしたが、今年はすでにインフルエンザの流行が始まっているようです。
　昨年までと違う同時流行になる冬を想定して、早目の対策を講じることをおすすめします。

●換気
　新型コロナウイルス等の微粒子を室外に排出するためには、こまめに換気を行い、部屋の空気を入れ換えることが必要です。室内温度が大きく下がらないよう注意しながら、定期的な換気を行って下さい。

　空機清浄機は換気の補助として使用
　市販の空気清浄機は窓の開放による換気に加え、補助的に使用するものとして捉える必要があります。
　空機清浄機は本体を通過する空気にのみ効果を及ぼすので、室内に浮遊しているウイルスなどを除去または低減できても健康上のリスクを完全に防ぐことはできません。

●室内の加湿
　ウイルス対策として「加湿」は有効な方法です。冬のインフルエンザ対策として、小型の家庭用加湿器を使用する施設店舗も多く見られますが、特に超音波式加湿器の不適切な使用はレジオネラ菌や緑膿菌の繁殖を招き、高齢者など免疫力の低下した方や免疫不全の方はレジオネラ症などの肺炎を引き起こす場合があるので注意が必要です。
　また、空気の流れが悪い室内は、加湿しすぎるとカビが発生して肺の病気を引き起こすこともあります。

　家庭用加湿器の水の交換・清掃管理は適切に
・加湿器タンクの水は水道水を使用し、毎日新しい水に交換するとともにタンク内の清掃も 行って下さい。その際、タンクに傷をつけないようにして下さい。
・週に１回以上はタンク内の消毒も行って下さい。（洗浄方法はメーカーの取扱説明書をご覧 下さい）
・使用中に水が少なくなった時は、残っている水を全て捨てて、新しい水に入れ替えて下さい。
　※継ぎ足をしないで必ず全て交換するようにして下さい。

●効果が不確実あるいは有害の恐れがある消毒剤噴霧は危険
　人がいる環境に、消毒や除菌効果を謳う商品を空間噴霧して使用することは、眼、皮膚への付着や吸入による健康影響のおそれがあることから推奨されていません。空間噴霧を行う場合は、無人の時間帯に行うなど、人が吸入しないよう注意をして下さい。
　これまで、消毒剤の有効かつ安全な空間噴霧方法について、科学的に確認が行われた例はありません。世界保健機関（ＷＨＯ）は空間噴霧を避けるよう勧告しており、病院でも人がいる場所での消毒薬の噴霧は行っていません。

　参考資料1:新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について（厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ）
　4. 空気中のウイルス対策　5.（補論）空間噴霧について
　https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html

　参考資料2:新型コロナウイルス対策における「次亜塩素酸水」の空間噴霧について（ファクトシート） 改訂 令和2年6月9日現在(経済産業省HP)
　https://www.meti.go.jp/press/2020/05/20200529005/20200529005-3.pdf

　世界保健機関（ＷＨＯ）は、新型コロナウイルスに対する消毒に関する見解の中で、「室内空間で日常的に物品等の表面に対する消毒剤の（空間）噴霧や燻蒸をすることは推奨されない」としており、また、「路上や市場と言った屋外においてもＣＯＶＩＤ−１９やその他の病原体を殺菌するために空間噴霧や燻蒸することは推奨せず」「屋外であっても、人の健康に有害となり得る」としています。
　また、「消毒剤を（トンネル内、小部屋、個室などで）人体に対して空間噴霧することはいかなる状況であっても推奨されない」としています。（２０２０年５月１５日発表）
　米国疾病予防管理センター（ＣＤＣ）は、医療施設における消毒・滅菌に関するガイドラインの中で、「消毒剤の（空間）噴霧は、空気や環境表面の除染方法としては不十分であり、日常的な患者ケア区域における一般的な感染管理として推奨しない」としています。

文：水利協編集部
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