汚染水道水で鉛中毒、レジオネラ症も発生/アメリカ
2014年4月に財政がひっ迫していたミシガン州フリント市では、50年間使用していたデトロイトの水道システムを近郊の水質の悪いフリント川から取水処理するシステムに切り替えコスト節減を図ったが、間もなく水道水は変色した水が出たり、臭いがして、頭痛や発疹が出るとの苦情が多く寄せられた。
そして、この水は細菌に汚染されており、腐食性の物質を含んでいた。
フリント川からの水は老朽化した地中の水道管を腐食させ飲料水は鉛で汚染されたが、当局は1年もの間この事実を隠蔽していた。
最近行われた血液検査の結果、フリント市に住む子供たちの血中から高濃度の鉛が検出され、鉛中毒の症状も出ているという。
さらに、この水を起因とするレジオネラ症感染が市内各地で発生し、これまでに87例の感染が確認され、そのうち少なくとも10名が死亡した。
レジオネラ症発生とフリント川の水を関連付ける証拠は見つかっていないが、取水切り替えと症例が増加した時期は一致している。
1月16日、オバマ大統領により州に非常事態宣言が出され、現在フリント市では安全宣言が出されるまでは住民は水道水を飲むことができないため、約30,000世帯10万人にボトル水の配布が行われている。
事態発覚後の昨年10月に飲料水の供給システムは以前のデトロイトのものに戻されたが、水道管自体がすでに鉛に汚染されており、今後の安全な水道水供給の見通しは立っていない。