乳児2人の顔青白く、ミルクに使った水から基準の1万2250倍の亜硝酸態窒素/群馬
2021年(令和3年)12月22日(水)付け読売新聞は、群馬大付属病院(前橋市)で乳児10人が酸素欠乏症(メトヘモグロビン血症)を起こした原因は、冷暖房用の配管と上水管をつなぐバルブが腐食して、防食剤を含んだ水が上水管に流れ込んだことだった、と伝えた。
同大が16日、有識者らで構成される調査委員会の調査結果を発表し、斎藤繁院長は記者会見で「周辺住民や乳児の家族、病院を利用される方々に多大な心労をおかけし申し訳ない」と謝罪したという。
防食剤は、さび防止のために冷暖房用の水に投入されていた。酸素欠乏症を引き起こす亜硝酸態窒素などが含まれ、乳児が飲んだミルクに使われた水からは、亜硝酸態窒素が環境基準(1リットルあたり0・04ミリ・グラム)の1万2250倍検出されていた。
病院によると、冷暖房用の配管は、空調水が減った際に上水管から水を補給できるようになっていた。バルブには冷暖房用配管から上水管に水を流さないための装置が付いていたが、経年劣化により、開いた状態になっていたという。
病院によると、異常が確認されたのは10月18日。配管から生ぬるい水が出たとの報告があり、この頃にバルブが開き始めたとみられる。読売新聞が入手した病院内の連絡メールによると、翌19日午前にも蛇口からぬるま湯が出ていると報告されたが、「衛生上の問題はないので通常通り使用できる」としていた。だが、夕方に「安全性が確認できるまで飲用を禁止とする」とのメールが流された。ぬるま湯の原因がわからず、病院内が混乱していた様子がうかがえる。乳児2人の顔が青白くなっているのを看護師が確認したのは、19日午後5時頃だった。
病院は対策として冷暖房用配管と上水管を切り離した。防食剤が流れた上水管は、水質を確認したうえで今月16日に給水を再開した。酸素欠乏症を発症した乳児は全員が回復しているとのこと。