塩素ガス吸い込み体調不良 仙台で救急搬送相次ぐ 誤って薬剤混ぜたか/宮城
2021年(令和3年)10月29日(金)付け河北新報は、仙台市で10月、塩素ガスを吸い込んだ人が体調不良を訴え、救急搬送される事故が相次いだ。いずれもアルカリ性の薬剤と酸性の薬剤を混ぜて有毒ガスを発生させたのが原因とみられ、市消防局は「一歩間違えれば命に関わる」と注意を呼び掛けている、と伝えた。
事故は8日午前、泉区の公共施設で起きた。市消防局によると、清掃員の40代女性がアルカリ性の塩素系漂白剤と酸性のトイレ用洗剤を誤って混ぜたため、塩素ガスが発生。吸い込んだ女性は喉の痛みを訴え、病院に運ばれたという。
12日午前には青葉区で警備員の30代男性が救急搬送された。複合ビル敷地内の小屋でプールの水を浄化する次亜塩素酸ナトリウムのタンクに消毒用の塩酸を入れてしまい、発生したガスを吸ったとみられるという。
塩素ガスは目や皮膚、気道を強く刺激し、高濃度の場合は死亡するケースもある。塩素系漂白剤などに含まれる次亜塩素酸ナトリウムと塩酸が化学反応することで発生する。市内での発生頻度は年数件程度で「同じ月に2件も起きるのは珍しい」(市消防局警防課)という。
過去には被害が大きくなったケースもあった。2008年11月、山形市の水泳クラブで発生した事故では、プール周辺にいた4~16歳の子ども24人がぜんそく性気管支炎などで体調不良になった。
青葉区の複合ビルの事故では、アルカリ性と酸性で薬剤の容器、タンクが色分けされるなどしておらず、警備員が誤って投入した可能性があるという。市消防局の担当者は「投入前にしっかりと薬剤を確認することが大事。容器やタンクに青や赤のテープを張って区別するなど混同しない工夫もしてほしい」と話しているとのこと。