レジオネラ症死亡:塩素濃度にばらつき 湯楽の里、マニュアル不徹底か/埼玉
2014年(平成26年)6月15日付け毎日新聞は、埼玉県北本市発生したレジオネラ菌による死亡事件について、詳細を次のように伝えている。
浴槽水から県の基準値を超えるレジオネラ菌が検出され、利用客1人が死亡した北本市二ツ家3の入浴施設「湯楽(ゆら)の里」。運営会社の「サンフジ企画」(東京都渋谷区)は関東7都県に19カ所、県内だけでも5カ所の入浴施設を擁する業界大手だが、県によると、施設で作成した衛生管理マニュアルが全従業員に徹底されず、菌の発生につながった恐れもある。高齢者らに人気の高い入浴施設の管理体制のあり方が、改めて問われている。
県保健医療部の14日の発表によると、レジオネラ症による肺炎を起こして死亡したのは桶川市の男性(66)。この男性と同じく先月20日前後に同施設を利用していた県内の60歳と83歳の男性も入院したが、いずれも命に別条はない。県内の今年のレジオネラ症患者は20人で、死亡は4人目。県は他の利用客にも症状が出た場合は早めに医療機関を受診するよう呼びかけている。
同施設は一部に温泉を使った「循環型」のろ過システムを採用。浴槽は計14カ所にあり、うち男湯と女湯の露天風呂計2カ所で今回、同菌が検出された。
県公衆浴場法施行条例は循環ろ過装置について、週1回以上の清掃を義務付け、施設ごとに衛生管理の点検マニュアルを作成し従業員に周知徹底することなどを求めている。同施設の場合、清掃の頻度やマニュアルの作成は順守。また、浴槽水の自主検査も月1回実施し、外部の検査機関に提出しているが、直近の検査で異常はなかったという。
しかし、県の調べで、水質を保つために注入する塩素の濃度にばらつきがあったことが判明。県は「適切な注入の回数や量など、マニュアルの中身が全従業員に徹底されていなかった可能性がある」とみる。これに対し、同社の松崎智・温浴事業部リーダーは同日、報道陣に「塩素濃度は厚生労働省基準(0.4ppm以上)を下回らないよう、1時間に1回チェックしていた」と話した。
一方、3日から営業を自粛している同施設の入り口にはこの日、「当面の間、設備不良のため休館とさせていただきます」と書かれた案内看板3枚が置かれていたが、休館を知らず訪れる客の姿もあった。
5年ほど前から週に1〜2回は利用しているという上尾市の男性(73)は「何軒か利用している風呂の中で一番気に入っているので困ってしまう」と残念そう。鴻巣市の女性(62)は「きれいで評判も良かったので驚いた。大勢の人が入る場所だから、こういうことが起きるのは怖い」と話していた。
埼玉県のホームページは、http://www.pref.saitama.lg.jp/news/page/news140614-01.html