雲仙有数の高級旅館 タンク清掃の従業員死亡/長崎
2013年(平成25年)6月11日付け読売新聞は、11日午後5時32分頃、長崎県雲仙市小浜町雲仙の旅館「旅亭 半水盧(はんずいりょ)」の敷地内にある温泉の湯をためるタンク内で、男性従業員2人が倒れているのを別の従業員が発見し、119番した、と伝えた。
2人のうち、同県南島原市布津(ふつ)町甲、山下茂さん(59)が死亡、30歳代とみられるもう1人は意識不明の重体。
県警雲仙署や地元消防本部によると、タンク(高さ2メートル、幅1.5メートル、奥行き5メートル)内で、山下さんがあおむけに倒れ、もう1人が覆いかぶさるようにもがいていたという。
別の従業員が電動ノコギリでタンクを切断し、救急隊とともに救出した。
タンクには日頃、湯をためているが、この日はメンテナンスのため、2人が中に入って清掃していた。
消防は通報から約40分後、現場付近で硫化水素4ppm、一酸化炭素6ppmを検出した。
人体に影響がある濃度ではなかったが、事故当時より薄まった可能性があるという。宿泊客はいなかった。
タンク上部には出入り用の穴(直径約60センチ)があり、中に風を送り込んで換気するための扇風機もそばに置いてあったが、消防が到着した時は止まっていたという。
旅館の運営会社「ユーコーエステート」(福岡県久留米市)の親会社「ユーコー」(同市)によると、タンクは約1年2か月前に設置。この日が初の清掃だった。
同社の伊東辰男専務は「危険性を認識しておらず、マスクなどはつけさせていなかった。事故を起こし申し訳ない」と話した。当面、営業は自粛するという。
同旅館は、雲仙市役所から南東に約13キロ離れた雲仙温泉街の一角にあり、有数の高級旅館として知られる。旅館のホームページによると、約2万平方メートルの庭園内に離れの14室がある。
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