ヒ素汚染賠償支払う方針/茨城
2012年6月5日(火)にNHKニュースは、茨城県神栖市の住民が有機ヒ素化合物に汚染された井戸水を飲んで健康被害を受けた問題で、茨城県は、先月出された国の公害等調整委員会の裁定を受け入れて、住民に損害賠償を支払う方針を固めました、と伝えた。
この問題は、神栖市の住民39人が旧日本軍の毒ガス兵器の原料とみられる有機ヒ素化合物に汚染された井戸水を飲んで健康被害が出たとして、国と茨城県に対して損害賠償を命じるよう求めていたものです。
公害等調整委員会は、先月11日、国の責任は認めませんでしたが、茨城県に対しては住民37人に合わせて2,800万円余りの損害賠償を支払うよう命じる裁定を出しました。
その理由として、茨城県が住民が健康被害を訴えるより前に神栖市内で高濃度のヒ素による地下水汚染を把握していたにもかかわらず、調査範囲を十分に広げたり住民に周知したりしないなど対応が著しく不合理だったなどとしました。
これについて、茨城県は5日までに裁定を不服とする民事裁判は起こさず、損害賠償の支払いに応じる方針を固めました。 茨城県の関係者は「住民の救済を最優先に考えた。当時の県の井戸水の調査や周辺住民への周知が不十分だったことは認めざるをえない」としています。
一方、住民側は県に対しては裁判は起こさない方針で裁定の内容が成立する見通しですが、責任が認められなかった国に対しては、提訴するかどうか今月11日の期限を前に最終的な検討を続けています。