水質管理:主要公衆浴場・旅館入浴施設の約3割が条例違反
県、指導体制強化の方針/鳥取
平成24年(2012年)4月26日(木)付け毎日新聞は、県内の主要な公衆浴場や旅館の入浴施設を県が抽出調査した結果、約3割の施設で水質検査の未実施や浴槽水の交換の不徹底など、浴場に関する条例違反があったことが明らかになった。県は水質検査の実施報告を条例で新たに義務づけ、指導体制を強化する方針。一方で、経営者から「厳しすぎる」との声が多かった浴槽水の入れ替えについては、条件を緩和する方向で条例の改正に動き始めた、と伝えた。
調査は昨年12月〜今年3月にかけて、公衆浴場を持つ県内全域の148施設を対象に実施。県公衆浴場法(旅館業法)施行条例の内、浴場の水質・管理基準を定めた何らかの条文を約3割の施設が守っていなかった。
具体的には▽水質検査を怠った(19%)▽浴槽の水を毎日交換しなかった(10%)▽衛生措置の点検表を作成し、3年以上保管していなかった(20%)−−など。
条例では、水質検査について、循環式は年2回以上、その他のかけ流しなどは年1回以上、実施するように定められている。
ところが、これまでは、菌の発見などで「不適合」となった場合にのみ、知事への届け出を必要としていたため、検査をしなくても県の指導が入る心配はなかった。
また、浴槽水は毎日、完全に新しいものに交換する(循環式は週に1回以上)ように定められていた。
これに対して、経営者から「(水量の問題から)時間や手間がかかりすぎ、入浴時間が制限されてしまう」などの意見が上がったため、消毒などで衛生を確保している場合は、毎日取り換える必要はないとする条文に改正するという。
県内では近年、年に2〜3回、公衆浴場が発生源と見られるレジオネラ症の感染事例が報告されているため、県が危機意識を高めていた。レジオネラ症は高熱や意識障害をもたらし、最悪の場合、死に至ることもあるとされる。
今年1月には、米子市内の公衆浴場施設を利用した男性客がレジオネラ症を発症。県の調べで浴槽水からレジオネラ属菌が検出され、同施設は営業停止処分になった。
県は条例の改正に向け、今月末から営業者などから聞き取りを始め、5月中にもパブリックコメントを行い、問題がなければ、県議会に改正案を提出するという。
県旅館ホテル生活衛生同業組合の中島守理事長は「我々も襟を正す必要があるが、県の指導の不徹底もあるだろう。衛生の確保が重要だという認識は県と同じなので、今まで通りしっかりと取り組んでいきたい」と話している。