漁港整備の中止求め温泉会社が民事調停/和歌山
2010年12月28日(火)付の紀伊民報は、白浜温泉(和歌山県白浜町)の温泉会社6社が、町に対し、10月に着手した湯崎漁港内の海底岩盤の掘削および掘削に付随する工事の中止と、漁港の工事で温泉会社に損失があった場合の補償などを求める民事調停を、田辺簡裁に申し立てていたことが分かった、と伝えた。
温泉から乖離(かいり)した二酸化炭素が出ている付近の岩盤を掘削すると、温泉の湧出量を減少させる恐れがあり、その場合、温泉で成り立っている白浜町の観光事業に大打撃を与えるとしているという。
温泉会社は当初から事前の工法開示や損失が生じた場合の補償などを町に求めていたが、「町は、温泉に影響があった場合、工事を止め、専門家による泉源影響監視委員会の意見を聞いて対応すると回答するにとどまり、補償などの対策については一切説明しなかった」としているという。
また、10月に着手した掘削工事については「着手のわずか5日前に説明会を開き、そこで初めて着工を明らかにした。工事内容を検討する時間を与えずに強行した」とし、不満をあらわにしている。
温泉会社が示した自噴泉の停止について町は、専門家の見解を基に「漁港整備工事の影響ではなく、既存源泉孔内の問題や開発、掘削井戸の増加などによる水位や自噴圧の低下が要因」と話している。調停の申し立てには「粛々と対応していきたい」と話しているとのこと。