市営温泉、無許可営業17年―洗い場面積も違反、廃止検討/福井
2010年10月3日(金)付の読売新聞は、福井市居倉町の市営宿泊施設「水仙寮」が17年間、公衆浴場法に基づく営業許可を受けず、泊まり客以外の地元住民らにも温泉浴場を利用させていたことがわかった、と伝えた。
女湯の洗い場の面積が県条例の基準を下回っていたことも判明、市は今年2月から男女の浴場をいずれも閉鎖し、廃止を検討しているという。
水仙寮は、1979年に廃校になった旧越廼村の下岬小校舎を改修。同村が1991年に木造2階建て宿泊施設としてオープンした。1992年に付近で温泉が沸いたため浴場を改修、1993年から営業を始めていたという。
今年2月、温泉施設の利用者がレジオネラ属菌に感染し、県が調査。浴場の衛生管理などに関する公衆浴場法違反が発覚した。さらに県公衆浴場基準条例で定める洗い場の面積(12.5平方メートル以上)に、女湯の洗い場(8.2平方メートル)が満たなかった。同市観光開発室の担当者は「宿泊施設としての許可はあり、旧越廼村の担当者との引き継ぎも不十分で気づかなかった」と弁明しているという。
近くの男性(61)は「過疎化で高齢者が多い地元にとって数少ない憩いの場。毎日通っていた人もいる。何とか残してほしい」と話したという。
同市によると、ここ数年の温泉浴場の収支は年間500万円近くの赤字で、再開するには改修に約550万円かかるという。同施設から南約1キロの「ガラガラ山総合公園」内に別の温泉浴場を新設する案も出ており、来年度中に今後の方針を決めたいとしているとのこと。