<スーパー銭湯>完成間に合わぬ施設への許可は「違法」―札幌地裁が道に2300万円賠償命令/北海道
2010年10月1日(金)付の毎日新聞は、同時期にオープンした近接する2軒のスーパー銭湯のどちらに公衆浴場としての営業許可を与えるべきだったかが争われた訴訟で、札幌地裁は30日、先に申請したものの条例が定める期限内に完成させられなかった施設に北海道が許可を出したのは違法だと認定した。許可を受けられなかった施設は営業面で不利益を被ったとして、道に2349万円余の支払いを命じた、と伝えた。
訴えていたのは、江別市でスーパー銭湯「江別温泉湯の花 江別殿」を経営する「アースキュア」(小樽市)。約470メートル離れた場所には、同じ2007年12月にオープンしたスーパー銭湯「北のたまゆら江別」があるという。
道の公衆浴場法施行条例では「普通浴場」の営業許可を受けた施設は、料金が固定される一方で、半径500メートル以内での独占営業権や、水道料や税金の優遇措置が受けられる。営業許可の申請は先着順だが、申請から半年以内に完成することが条件になっているという。
判決によると「たまゆら」は2007年2月、江別保健所に普通浴場の許可を申請。5日後に許可が下り、同3月に「湯の花」が出した申請は不許可になったという。
しかし「たまゆら」は期限の8月を過ぎても完成しなかったため、9月に「湯の花」が再度申請をしたが、保健所は「たまゆら」から期限延期願が出ていることを理由に再び不許可としたという。この結果、普通浴場の扱いの「たまゆら」は料金390円がそのまま収入になるのに対し、優遇措置のない「湯の花」は400円のうち100円を入湯税として市に納めているという。
判決は「保健所は『たまゆら』の完成が遅れると分かった時点で許可を取り消し『湯の花』の申請を精査するべきだった」と判断。そのうえで9月の不許可処分は誤った条例解釈による違法行為だと結論付け、水道料金などの損害の補てんを命じた。道は「主張が認められず残念。判決内容を精査して今後の方針を検討する」とコメントしたという。