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お知らせ

コロナ対策で休業再開後の「入浴施設」に注意!
循環式浴槽にレジオネラ症のリスク

2020年5/11(月) 公益社団法人全国水利用設備環境衛生協会(水利協)

 新型コロナウイルス感染症の影響により、全国各地の宿泊・入浴・スポーツ施設等の休業が継続する中、ようやく再開の兆しも見えてきつつありますが、それら施設の心配は休業損失や休業補償だけではないようです。
 入浴設備を持つ施設店舗が長期休業する際は衛生管理にも気をつけなければいけません。浴槽の循環配管系統はもちろん、シャワー・カランなどをそのまま放置しておくとタンクや配管内に汚れが溜まり、水垢の発生やレジオネラ菌が繁殖する恐れが高くなります。
 その原因は何なのか?そして、長期休業後の再開時に気をつけなければいけないのはどんなことなのでしょうか? 水を利用する設備機器の衛生管理を推進する公益社団法人水利用設備環境衛生協会(水利協)がお答え致します。

●「循環系統」の配管内にバイオフィルムが付着
 循環式浴槽には浴槽水を循環させる配管「循環配管」というものがあります。ふだん、配管の中は湯(浴槽水)があり、通常の状態であれば湯がいつも循環していて、塩素(次亜塩素酸ナトリウム)によって消毒されています。
 その湯が何らかの理由により循環しなくなり停滞すると、やがて塩素が抜けて湯がよどみ、配管内には湯垢やバイオフィルム(生物膜、ぬめり)が溜まってしまいます。
 原因は浴槽水中の汚れと、汚れた湯の中で繁殖した細菌などによってバイオフィルムが発生したことなどが考えられます。
 対処方法として、循環系統内のお湯はいったん全部抜き、配管内などの汚れやバイオフィルムを取り除くために洗浄消毒することが必要となります。

●シャワーやカランにも注意が必要
 さらに浴槽だけではなく、シャワーやカランなど体を洗うための設備機器にも注意が必要です。
 シャワーの場合、使った後のシャワーヘッドやホースの中にお湯が残り、そのまま長時間放置しておくと菌が発生することがあります。また、カビなども発生してしまいます。このような状態になると、カランに残った水も菌に汚染されている可能性が高いと言えます。
 レジオネラ菌を発生させないよう、一般的な対策方法をご説明します。
1.循環式浴槽の場合、長期休止する際はタンクや浴槽、循環配管内に残ったすべての湯水を排水するとともに、ろ過器や水位計などの機器・装置と配管の洗浄消毒を実施する。
2.シャワー・カラン用のタンクや配管の洗浄消毒とシャワーヘッド・シャワーホース・カランも清掃・消毒を実施する。
3.清掃後すぐに使用しない場合はタンクや浴槽、機器・配管内に残ったすべての湯水を排水する。
4.浴室・浴槽など設備全体を水分が残らないよう十分乾燥させる。
5.長期休止後の使用(営業)再開の際には再度清掃消毒を行った上で試運転し、レジオネラ属菌検査などを実施し水質に問題がないことを確認してから使用する。

 その他、注意すべきこととして、循環式ではない浴槽=入れ替え式浴槽やかけ流し式の浴槽でも、湯を溜めたままにしていると湯垢が付いて菌が発生することがあります。
 さらに長期間使わないことでレジオネラ菌やカビなどが発生することがあります。その場合は清掃消毒して浴槽を乾燥させてください。
 上記以外にも入浴施設に必要な対策はまだ多くあります。コロナによる休業要請が解除されて、いざ施設を再開する際には、衛生管理は万全な状態で臨みたいものです。
 コロナ関連の感染対策徹底はもちろんですが、入浴設備のほかにも水回りの機器類をチェックしてみてください。

文:水利協編集部        
SUIRIKYO.OR.JP オンライン情報

 ◇参考リンク:厚生労働省「レジオネラ対策のページ」
         https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124204.html